めいまが

詰将棋とチェス・プロブレム愛好家の駒井めいが編集長を務めるWebマガジン

めいまが 2022年2月号

詰将棋とチェス・プロブレム愛好家の駒井めいが編集長を務めるWebマガジン「めいまが」です。
2022年4月号よりチェス・プロブレムのOrthodox・Helpmateの解付き出題を始めるので、作品を募集します。
チェス・プロブレム創作初心者からの投稿も大歓迎です。
詳細は募集欄をご覧ください。

1.編集長のおすすめ作品

springs 作 詰将棋メーカー 2020年4月21日
詰将棋 5手

急がば回れ | 𝔰𝔭𝔯𝔦𝔫𝔤𝔰 | 詰将棋メーカー

48金、77馬、37金、同玉、47飛 迄5手。

金の連続活用に不思議な味がある作品です。
37金は初手ですぐに実行できますが、あえて48の地点を経由します。
初手37金は17玉、26銀に同馬とされて詰みません。
初手48金は、飛車の利きで17玉と逃げられるのを防ぎつつ、2手目77馬とさせて馬の利きを逸らす意味があります。
これで3手目37金を実行すれば、4手目17玉には26銀迄です。
この手順が可能になったのは馬の利きが逸れたおかげです。
4手目同玉には47飛迄で詰め上がりです。

金を47→37という最短ルートではなく、47→48→37と遠回りで活用するところに面白さがあります。

② 風みどり 作 スマホ詰パラ 2019年5月17日
詰将棋 5手

いっこの積木(13) | つみき書店

43金、23銀、44金、同玉、43飛成 迄5手。

こちらも金の連続活用で、34→44という最短ルートではなく、34→43→44と遠回りで活用します。

初手44金は同玉、43飛成に同銀とされて詰みません。
今度は銀の利きを逸らすために、初手43金とそっぽに動かします。
両王手ではなく、あえて開王手をかけるわけです。
飛車の可動域を狭める手でもあるのでやりくいでしょう。
2手目34歩合は同角成、同玉、54飛成迄で同手数駒余りです。
2手目23銀に44金を実行し、4手目同玉に43飛成迄で詰め上がりです。

初手で金をそっぽに動かすのは不思議な感じですが、3手目44金とするためには43でなければならないのです。

③ シナトラ 作 詰将棋メーカー 2020年10月7日
詰将棋 5手

力をためる | シナトラ | 詰将棋メーカー

49飛、54角、46飛、同玉、47金 迄5手。

今度は飛車の連続活用です。
初手46飛と両王手をするのは、同玉、47金、同角成となって詰みません。
やはり受方角の利きを逸らしたいわけですが、初手49飛と一番下まで引きます。
こちらも両王手ができるところを、あえて開王手にするわけです。
2手目26玉は大丈夫なのかと心配になりますが、27金、15玉、19飛迄で同手数駒余りの詰みです。
2手目54角に対して、遅れて46飛を実行します。
4手目同玉に47金とすれば、受方角の利きが逸れたおかげで詰め上がりです。
飛車を45→46という最短ルートではなく、45→49→46と遠回りで活用します。

初手49飛のインパクトが大きい作品です。
また、38にいる金が変化では37金、作意では47金と左右に使い分けられているのも、さり気ないポイントでしょう。

ところで、受方19との配置は一見すると変同消しのためだけに置いたように見えます。
しかし、これがないと初手48飛以下の余詰が発生してしまいます。
実は重要な役割を担っていて、よく練られた配置というわけです。

2.シナトラセレクション 第2回

担当:シナトラ

前回が伝統ルールだったので今回はフェアリーです。
ここ最近に発表された作品の中から、印象に残ったフェアリー詰将棋を2作ご紹介しましょう。

田吉一 作 詰将棋パラダイス 2021年9月

協力自玉詰6手 b) 64玉→55

a) 19角、28角合、同角、37飛、97角、同と まで6手。
b) 99角、88飛合、同角、77角、95飛、同歩 まで6手。

最遠打に対して合駒が2枚出るツイン。
作意手順を並べると、綺麗に対比されていることが分かりますね。
2解にするのはやはり難しかったのでしょうか。

ちなみに、本作で使われている協力自玉詰は、作家からするととても使いやすいルールの1つ。
普通の協力詰に比べて余詰が出にくいというのがその理由で、私も愛用しています。

springs 作 詰将棋メーカー 2021年10月

点鏡協力詰5手 2解

84角、48玉、62飛成、49玉、48桂 まで5手。
84飛、24玉、88角、13玉、22桂 まで5手。

点鏡というのは、「55に関して点対称な位置にある2つの駒は敵味方関係なく互いにその性能が入れ替わる」というフェアリールールです。
この図で言うと、44角は飛の利きに、66飛は角の利きになっているため初形で王手はかかっていません。

本作の構造を見てみましょう。
まず2解とも初手に84へ着手(プロブレム用語を使うならPlay on the same square)しています。
これによって、66飛または44角が本来の利きに戻り、王手がかかっています。
さらに84に着手したことで、26玉がその大駒の動きに変わりますね。それで玉を48または24に動かせるようになるわけです。
このあたりは点鏡に慣れないと難しいかもしれませんが頑張ってついてきてください。
さて、2手目まで指した時点で不思議なことにBatteryが構築されています。
これを62飛成/88角と微妙な位置に開くのが点鏡らしい妙手。
その効果は最終手より明らかですね。
打った桂が龍/角の利きに変わることで受け無しです。
点鏡らしさと複数解らしさを兼ね備えた好作だと思います。

作者のsprings氏はプロブレムはやらないと仰ってましたが、本作は完全にHelpmateの構成になっています。
どうやってこの境地に辿り着かれたのか、とても不思議ですね。

3.募集

■ チェス・プロブレム(Orthodox, Helpmate)解付き出題
2022年4月号より隔月でチェス・プロブレムの解付き出題を始めます。
つきましては、チェス・プロブレム作品を募集します。
但し、OrthodoxとHelpmateに限らせていただきます。
下記の情報を編集長・駒井めいのTwitter@MeiKomai_Tsume)のDMへ送付してください。
① 作者名(ペンネーム可)
② 作品図面
③ ルール・手数・ツインなどの出題条件
④ 解
⑤ 狙いなどの作者コメント(省略可)
2022年4月号掲載分の締切:2022年3月31日
※ 検討ソフトとして、OliveHelpmate Analyzerなどがあります。

■ 掲載記事
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内容は論考、作品紹介、入門、詰棋書紹介、宣伝など何でも構いません。
単発・連載どちらでも受け付けます。
また、字数制限は特にありません。
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